真空管の歴史

真空管の歴史は、1904年にフレミングが発明2極真空管から始まる。1906年にはリー・ド・フォレストが3極真空管を発明している。 既に白熱電球の製造技術を有していたウェスタン・エレクトリック社がこれに目をつけ、リー・ド・フォレスト発明の3極真空管の製造を開始した。さらに1915年には大陸横断電話回線の実験がバージニアとアーリントン間で行われたが、これにはなんと550本の真空管が用いられたと記録されている。1918年には、ウェスタン・エレクトリック社は、直熱型三極管であるVT-1とVT-2の生産を開始した。それぞれ、受信用検波増幅管、送信用5W型発振変調管である。これが初めての実用・汎用型真空管である。さらに、1929年には5極管、1935年には世界初のメタルビーム管(6L6)が製造されることになり、この時点で真空管技術の基本が固まったとされている。

真空管からトランジスタへ

その後、ラジオやアンプ等の電気・電子機器に整流、変調、検波、増幅などの目的で使用された真空管だったが、フィラメントやヒーターと言った熱電子源が大きな電力を消費し、かつフィラメントやヒータそのものの寿命が数千時間程度と、短いなどの問題があった。また、真空管自体が小型化できない等の問題もあり、その後発明された日本の誇るトランジスタにその地位を譲ることになる。その後1970年代には、真空管を使用したTVやラジオは消えていった。その後、トランジスタもIC,LSIに置き換えられていくことになる。しかし、真空管は完全に消え去ったわけではなく、そのメリットを生かした用途を得て、21世紀も生き延びているのは興味深いことである。

真空管の生き残り

現在、一般的なラジオ、アンプ等の電気電子回路の整流、変調、検波、増幅などの汎用目的用素子としては、真空管に替わり半導体が使用されている。しかし真空管は、最近流行のハイエンドオーディオ用アンプ用に多く使われるようになっている。この「ハイエンドオーディオ用真空管」は、柔らかいの音質を持つ増幅用素子として、現在においても一部の音楽愛好家に支持され、ハイエンド高級オーディオアンプや高級ギターアンプ等の用途で用いられている。オーディオ・アンプの場合はは、このオーディオ用真空管のほうがトランジスタよりも「好みの音」を得られる場合が多いので、オーディオマニアが自作アンプには真空管を用いる場合が多い。幸い、中国や東欧諸国などでは今もこれらのオーディオ用真空管が製造されており、秋葉原の真空管専門店では入手することができる。

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